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備えよう!「事前復興」|レポート

事前復興|備えは始まっている!シンポジウムレポートです   

私が仕事と生活の拠点をおく中央区、そのエリアの建築家協会|中央地域会との恊働で、建築家住宅の会|トーキョーインタも側面支援し、時間をかけて準備した、イベントの報告です。

また、私たち地域の建築家で、先だって本を発刊しました。
「建築家とまちづくりのなかまたち」と題して、建築ジャーナル社から、
およそ50ページからなる書籍です。
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その巻頭では、中央区副区長の吉田不曇さんにも執筆いただきました。

登壇者はその吉田副区長。
中央区在勤で築年数を経たビルディングをリノベーションしてオフィス利用している石川雅英さん(建築家)。長らく佃の高層タワーマンションにお住まいの山本浩三さん(建築家)、佃の木造住宅にエリアに暮らす二瓶文隆氏(地域活動家)といった、中央区に関わりの深い方々に登壇いただきました。

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私自身も20年近く中央区に事務所を持ち、かつ現在住まいも日本橋ですから、中央区のこれからの安全を問うことは、生活と密接に関わっています。

そのような文脈もふまえ、コーディネーション役を務めました。

以下、括弧数字は私からのパネラーへの質問です。

1)昨年の3.11に中央区では一体何がおきていたのでしょうか。
●区民の防災拠点は、ほぼ帰宅困難者で占められ、区民が活用不能となった。いわば「液状化ではなく駅上化」という例えがふさわしいが、区内の地下鉄の地上出口から沸くように人々が出て来る。想定以上の結果に今後への示唆があった。(吉田)
●高層分譲マンションは自治会の絆があるとはいえ、EVは停止し、復旧後も上層階へ帰れない高齢者も多い。情報が無い、ことに不安感はつのる。
●高層賃貸マンションは、もともとコミュにティー意識が希薄だが、地震時には在宅のご夫人や高齢者が全員エントランスで長い時間を過ごしたことで、皮肉にも以降「あいさつ」が増えている。この事実は見逃せない。(長谷川)

2)平地に住まう方々はいかがだったのでしょう。
●消防団というつながりを含め、今風にいえば、地域コミュニティーが豊富なエリアとして、近隣のお年寄りの確認が早急に行われた。批難場所に指定されている施設へのサポートもすぐにはじまった。現場の実際は、仮に組織化されていなくても、誰かが必ず率先者になる事実がある。そこで、誰もが活用可能な「マニュアル」の必要性を強く感じた。(二瓶)

3)中央区行政として、すでに昨年来さまざまな取り組みが為されているようですが、概要を紹介ください。
●まず、前提として今後の備えに関し東京湾と隅田川河畔に面する中央区に、津波による被害は少ないと想定がある。これは識者含めた定量的な事実を基本にしていて、一定以上の信頼度が高い。その前提で区内の備えとして
◯耐震改修にともなう調査と改修に対する助成金|相当数が進んでいる。
◯地域FMを活用した防災放送の拡充|聖路加タワーにアンテナを装備し発進力強化と、受信力強化の為に廉価でラジオを提供するしくみを作成中。
◯今後の大きな課題としては「水」の問題への取り組み。飲料ではなく、汚物を処理する水の不足と、汚物そのものの処理方法。これらは、近隣の浦安市の事実を見れば明らかな通り、下水の復旧が遅れた場合の措置は覆多くの課題を抱えている。充分に考慮しておく必要がある。
◯防災用の水槽が中央区には多数計画してある、一方、それを現地へ運ぶ「給水車」が不足している。東京都には給水車の準備を進めてもらい、それらと連携していきたい。(以上、吉田)

4)区に所在する建築家としてわれわれのできることは何でしょうか。
●「自分の建物は大丈夫でしょうか、、」震災後の相談。
一般的だが緊急診断士としての役割を求める方々が災害後に多いので、
そこをサポートしていくことは基本である。(石川)
●『縁側性』の回復、すなわち民間、公共含めて、区民が入りやすいゾーンの回復と、セキュリティー社会との擦り合わせを考える次期ではないか(会場から、藤沼)
●事前復興という意味からも、被災者住宅(応急仮設)への、事前計画なども有効であろう(長谷川)

5)生活者と行政とが恊働しながら備える、つまり一方的に行政に任せるというのではない視点が大切かもしれませんが、、
●何をしたらよいのか、わからないことが多いので、勉強会を定期的に開催する予定。身近な知り合いを増やす、という基本も大切。
住人相互に語らい自分たちのアタマで考えることが問題意識を育む(会場、高層マンション住人)

●コミュニティーが無ければ、、といったようにコミュニティー論で片付けてはいけないように感じている。重複するが、災害時に人は期待以上に働き、リーダーが浮かび上がり、瞬間的なコミュニティーも生まれる。ただ、その時に、動く意思を持った方々を活かすシミュレーションやマニュアルを早めにしっかり議論し、行政の認識とマニュアルとのズレを修正し、備えるべきである(二瓶)

シンポジウムを終え現段のまとめとして
このシンポジウムに先立って、中央区役所に伺って、副区長との対話した内容もふまえてシンポジウムでの議論もかけ算すると、大要以下のまとめができます。

1)コミュニティーづくり絆づくりは、テーマに掲げるのはたやすいですが、いうほど簡単なものではありまません。仮にそれが希薄であっても、しっかり機能する、現場で使えるマニュアルづくりを、区民(生活者)と行政で相互認識で創出する必要性。これは急務です。それには、実際に先の地震時、災害時に、避難施設などで活動した方々の意見をしっかりお聞きし、発展させることが必要条件です。

2)想像しても、しつくせない災害。それ故に災害時の、その瞬間への備えに多く目がいきがちな中で、生活を断続させない、つまり『日常生活をいかに連続させるかの視点』が、備えの方向付けとして重要であることを再認識しました。


以上、今後の事前復興ビジョンづくりのスタートを担うシンポジウムがかないました。

シンポジウムの流れをおさらいしながら、他の地域における「事前復興」の問題提起に役立てていただきつつ、読者の皆さんの間でも、こうしたテーマで語らいが進んでいることとお察しします。
一助としていただき、またテーマを重ね、情報共有と交流を致しましょう。

皆さんの問題意識につながれば幸いです。          (長谷川順持|建築家)
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by TokyoInterActive | 2012-05-17 21:17 | 2.エコロジカル環境づくり